ブトカマベツ
氾濫原プロジェクト
ブトカマベツが
もっと川らしく
なるための、
世界に誇れる
川になるための、
架け橋をつくろう。
- BU-TO-KAMA-KUN
世界でも貴重なほど、
幸せな自然環境の
なかで
暮らしているブトカマベツ。
なはずなのに、何かがおかしい。
日本で最も寒い記録を持つ北海道、幌加内町にある朱鞠内。そこにある朱鞠内湖一帯に広がる原生林に近い森の中を流れている川の一つがブトカマベツです。もう数が少なくなっている日本最大の淡水魚イトウ(国際自然保護連合・IUCNによって、2006年にもっとも絶滅の危険が高いとされるCRに定めている)をはじめ、数多く魚たちがのびのびと暮らしています。もちろん魚だけではありません。鳥や昆虫そして樹々たちが厳しくも豊かな自然の中でそれぞれが命をキラキラと輝かせている。世界でも貴重な場所です。ところが、ムズムズしているのです。何が?そうです。
- 「ブトカマベツ」ってなに?
川です!! - ブトカマベツとはアイヌ語が語源になっています。北海道にはアイヌの人たちが呼んでいる地名が今もたくさんあるのです。
-
- ブト
(プト)
河口 - カマ
平岩 - ベツ
(ペッ)
川
- ブト
- 「その川尻に平たい岩がある川」と解釈する人もいます。ベツ(ペッ)は、川という意味なので、地元ではブトカマベツ川と言わずにブトカマベツやブトカマと言う人も少なくありません。
ブトカマベツの流れ
- 現在のブトカマベツの流れ
- 元々のブトカマベツ流れ
ブトカマベツの望む通りにしたら、
120年続けてきた森や川の研究が
大変になる。
どうしたらいいのだろう。困った!
森や川とのびのびとできる
方法はないのか!!!!
モーレツに考えました。
ブトカマベツの戻りたい流れの先には林道があります。ブトカマ川の望みを叶えてあげたら、林道が大変なことになる。今までどおり森の研究もできて、そしてブトカマベツがもっと自由になれる方法はないのか。それが叶えられたら、本当にブトカマベツは、世界に誇れるもっとも、自由にのびのびとした川になれるはずです。それぞれの分野の専門家の方々、そして町の人たちが集まって、話し合いをして、意見を出し合って考えました。
自然は、できる限り
自然のままです!
- 中村 太士 教授
- 北海道大学
大学院農林研究院
生態系管理学研究室
「自然物は、人間がすべてコントロールできないと思った方がいい。今までは、人間は自然も道路や橋と同じようにコントロールできると思っていたんです。ブトカマベツの問題は、他のいろいろな地域でも同じように起きている。林道と川の共存は小さいながらもひとつ一つ解決していかないと。それが外への発信にもなっていくと思っています。みんなで知恵をしぼらないと」
川の思う通りに
させてあげたい
- 宇野 裕美 先生
- 北海道大学
地球環境科学研究院・
日本学術振興会
特別研究員CPD
「海外でも見てきましたが、ブトカマベツのこの川は、実感値として数少ない自然に守られている場所だと思います。川は、川だけじゃ、川になれません。樹齢何百年の木が倒れて、そこにまた新しい流れが生まれ、木と川の間に稚魚が生息する。そういった自然の組み合わせがブトカマには残されているんです」
森も川も同じ自然。
この自然と人の調和を
大事に
考えています。
- 中路 達郎林長
- 北海道大学 北方生物圏
フィールド科学センター准教授
雨龍研究林林長
「北海道大学が100年以上前に、国から預かった原生林を守っていかなければいけないという責任を感じています。森も川も同じ自然。どちらにとってもいいと思える答えをみなさんと一緒に考えていきたいと思っています」
日本最大の淡水魚、
イトウが育つ川なんです
- 森田 健太郎 先生
- 東京大学
大気海洋研究所教授
「ブトカマベツには、絶滅の恐れがあるイトウがいます。その生き様を残していかなければいけないと思います。飼育し生きていく、カタチではなく。そのままの生き様を」
川を川らしくするのは、
むずかしいんですよ
- 岩瀬 晴夫
- 北海道技術コンサルタント
システムデザイン
アドバイザー
建設部門・技術士
土木学会・上級技術者
「ブトカマベツは、今まで復元する事業を2箇所やらせてもらっていますが、その経験をなんとか活かせるといいと思っています。僕はげんばだから、実現できるかどうかがシビアになってきます。それをなんとか形にして中村先生や中野さんの後押しになれればいいと」
イトウに、
のびのびしてほしい
- 中野 信之
- NPO法人
「シュマリナイ湖
ワールドセンター」
理事長
朱鞠内湖淡水漁業
協同組合理事
北海道内水面魚場
管理委員
「イトウに魅せられて大阪から移住して、今もイトウと生きています。そのイトウがのびのびと暮らせる川であるブトカマベツを、もっと元気にしたい。そして、朱鞠内の自然も大切にしたい。川と森にとっていい生き方をなんとしても見つけたいんです」
幌加内町の宝物である
自然を大切にしたい!!
- 細川 雅弘 町長
- 幌加内町長
「人に自然にやさしい故郷づくり」が本町まちづくりのキーワードです。イトウを始め大切な宝物である豊かな大自然を次世代につなぐことが私達の責務です。一緒に頑張りましょう!
ブトカマ川が世界に誇れる
のびのびと自由な川になるために
木橋をかけよう!
今ある川と、元々あった川の2つ流れがスムースになるように、上流を工事し、林道と川が交差する二箇所に木橋をつくります。林道は守られ森の研究は進み、ブトカマベツも自由に氾濫できる。研究と川の架け橋になってくれるのです。
工事後(未来予想図)
木橋は近自然工法。
森にある木をつかいます。
自然の中では、自然が育んだものが一番なじみます。それは橋も同じこと。現代の工法に森の木を使いながらつくっていきます。森に必要なのは、人工的なものではなく、森から生まれたものです。
- ボランティアのみなさんによる雨竜研究林での
カラマツの皮むき作業。
- カラマツの皮むきは
他の針葉樹より手間がかかります。
一方方向に鉈で剥くと良い!
ちかくにヒグマも出没。
ブトカマベツと
自然と人の関係を、
これからの川の一つの理想に
できるように。
川がのびのびとできて、魚や植物や鳥などの生き物が集まってきて、人の暮らしも安全で川の恵み、自然の恵みをいただく。川を中心とした本当の意味での共存が育まれていく。そんな未来がやってくる。水の国、日本にはたくさんの川が流れています。川の国でもあります。それぞれの川が、それぞれに川らしく生きていくことは、人が人らしく生きていけることでもあります。このブトカマベツ氾濫原プロジェクトが、これから川との付き合い方の、ひとつの参考になることができたら、日本は世界に誇れる自然と仲良く暮らせる国になっていく。だからこそ実現したい!と強く思っています。そして、このプロジェクトが一人でも多くの人に届くといい!と願っています。